リ サ イ タ ル

 


 この作品は、平成9(1997)年の「第15回神崎ひで貴の会」のために委嘱され、同会にて初演されまLた。作詞は山崎有一郎氏で、狂言の「節分」からアイディアを得ています。原作の狂言では、節分の夜に、不老不死の地とされる東海の蓬莱島からやって来た男鬼が、留守番をしていた美しい若妻 の家を覗いて一目惚れをし、言い寄りますが、逆に鬼の宝物を取り上げられた上に「福は内、鬼は外」と、豆を撒いて追い帰されてしまうといった内容です。ところが、中島勝祐氏夫人が「ひで責先生は女性ですから女鬼にして、若妻を美青年にしては」と、冗談混じリに話された事が切っ掛けとなって、男女が入れ変って出来上ったそうです。初演時の曲名は「鬼は外ヘ」でしたが、昨年のリサイタルに於いて、人形浄瑠璃文楽座の人形遣い桐竹勘十郎師が、人形で振り付けて下さったのを機会に、少し手直しをし、曲名も浄瑠璃風に「隠れ笠鬼女面影」と改められました。勘十郎師手作りの女鬼の人形が大評判で再演希望の声も多く寄せられましたので、今回再演の運びとなリました。  作曲者自身は、「台本は狂言風ですから台詞を多くして解リ易く語ろうと考えまLた。またコミカルな題材の中に、女の可愛らしさと、心の奧に潜む業の様なものを表現しようと努めました」と語つておられます。
 人形浄瑠璃文楽座の三世桐竹勘十郎師は昭和28年のお生まれ。  父は重要無形文化財の二世桐竹勘十郎師、姉は女優三林京子さん、長男も人形遣い吉田簑次師という芸能一家。平成15年4月に父の名跡を襲名。平成7年3月に芸術選英文部科学大臣新人賞を受賞の他、数々の大きな賞を受賞されています。本業の他、絵画の腕も名人級で、国立文楽劇場記念スタン プの原画は毎回、氏の手製。このプログラムにも腕を揮つて下さいまLた。