リ サ イ タ ル

 


 こ作品は、平成九(一九九七)年の「第十五回神崎ひて貴の会」のために委嘱され、同会にて初演された中島勝祐作曲の「創作上方浄るり」です。作詞は山崎有一郎氏で、狂言「節分」からアイディアを得ています。
 原作の狂言では、節分の夜に蓬莱の島からやって来た男鬼が、留守番をしていた美しい若妻の家を覗いて、一目惚れして、言い寄りますが、逆に鬼の宝物を取リ上げられた上、「福は内、鬼は外」と、豆を撒いて追い帰されてしまうといった内容です。ところが、中島勝祐氏夫人が「ひで貴先生は女性ですから女鬼にして、若妻を美青年にしては」と、冗談混じリに話された事が切っ掛けとなつて、男女が入れ変って出来上がったそうです。
 初演時の曲名は「鬼は外ヘ」でしたが、今回、素の上方浄るリとしても楽しめるように、少し手直しをして、曲名も浄瑠璃風に改めたのがこの曲です。
 作曲者は、「台本は狂言風ですので、台詞を多くして解リ易く語ろうと考え、また、コミカルな題材の中に、女の可愛らしさと、奥に潜む業の様なものを表現しようと努めました」と語っています。