リ サ イ タ ル

 

音声

[ 約2分 ]


 昭和四十四年夏、第ニ回東音創作会で初演されたもので、現代的なわかり易さを避けて、情感と感覚美を主眼とした作品を創りたいという作曲者のプランを生かすために、詞は十種類ほどの古典詞章の断片を継ぎ合わせてあります。現実とも非現実ともとれるように文脈は整わないままになっております。
 場面は水辺に懸けられた舞台、幸若舞の太夫が舞っています。その舞の中に立ち現われた平家の公達らしき若者に室の津の遊女がからみます。曲は幻想的な気分のうちに夜の水に漂っている人間の暗い情念を官能的に歌います。