リ サ イ タ ル

 


 万延元(一八六〇)年、芝白金の末広御殿で初演され、大正十四(一九ニ四)年、東京邦楽座での三世中村時蔵修行会にて上演されました。紀州の道成寺に伝わる安珍清姫伝説の後日譚に基づく物語で、詞章の多くを、能「道成寺」の謡から借用しています。
 道成寺の鐘は、大蛇と化した清姫によつて焼失したのですが、後年再び寄進されました。後日譚は、新しい鐘を披露する鐘供養の日の出来事です。舞の奉納に現れた白拍子は、実は、怨念の化身で、舞を舞っているうちに鐘に飛び込んで鐘を落とし、蛇体となって現れます。結局、住僧に祈り伏せられて退散するといった粗筋です。